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「リカバリーウェアって効きますか」
これ、現場でいちばんよく聞かれる質問のひとつです。
先に、買うなら何を見ればいいかだけ書いておきます。
買うなら、ここだけ見る
一般医療機器の届出があるものを選んでください。
届出番号が商品ページに公開されているかどうか。ここが最低ラインです。届出のないものは、そもそも血行に関する効能を表示できません。値段でも素材でもデザインでもなく、まずここです。
マイまくら リカバリーウェアを見る →一般医療機器の届出済み商品として販売されているものの一例です。ほかにも届出のある製品はあるので、この条件で自分で探してもらっても構いません。
「効きますか」と聞かれたときの、僕の答え
正直に書きます。
現場で実際に答えていること
正直、わからへん。
けど、寝返りとかしやすいのはあるから、着心地はいいかもしれん。
これが今のところ、僕がいちばん正確だと思っている答えです。
「遠赤外線が効いているか」は分かりません。そこは後で研究の話をしますが、断言できるほどのものは、まだ出ていません。
ただ、着ている選手を見ていて「寝やすそうな服やな」と思うことはあります。ゴワつかない、締め付けが少ない、寝返りを打っても引っかからない。これは遠赤外線とは関係のない、単に衣類としての話です。
現場で見るのはTENTIALのBAKUNEが多いです。ただしこれは「そのブランドが優れている」という意味ではなく、着ている選手が多いという観察にすぎません。
着る意味がある選手、要らない選手
| どんな人か | |
|---|---|
| 意味がありそう | 寝るときの服がジャージや部活のTシャツのまま。締め付けや縫い目が気になっている |
| 意味がありそう | 練習後に体が冷えやすい。冬に手足が冷たくて寝つけない |
| 意味がありそう | 遠征が多い。着替えは持っていくので、そのぶんを兼ねられる |
| 要らない | そもそも睡眠時間が足りていない。6時間台で回している |
| 要らない | 寝る直前までスマホ。部屋の温度も整えていない |
| 要らない | マットレスがへたっている、枕の高さが合っていない |
下の3つに当てはまるなら、ウェアを買う前にやることがあります。睡眠時間・スマホ・室温は全部タダです。そこを飛ばしてウェアを買っても、何が効いたのか分からなくなります。やる順番はこちらに書きました。
リカバリーウェアは「睡眠の道具」ではなく「血行の道具」
ここを勘違いしている人が本当に多いです。
いわゆるリカバリーウェアの多くは、一般医療機器として届け出られています。制度としてこの枠が整理されたのは2022年以降で、遠赤外線を放つ生地によって血行に働きかけるという位置づけです。
つまり「睡眠のための機器」ではありません。血行のための衣類です。眠りが良くなることを目的とした製品として認められているわけではない、ということです。
表示できる効能は、4つだけ
この分類で表示できる効能・効果は、次の4つに限られています。
| 1 | 血行促進 |
| 2 | 筋肉のこりをほぐす |
| 3 | 疲労回復 |
| 4 | 筋肉の疲れをとる |
この4つだけです。そして、ここに入っていないものがあります。
覚えておいてほしいこと
「よく眠れる」「安眠」は表示できません。もし商品ページに「これを着ればよく眠れる」と書いてあったら、それは表示してはいけないことを書いている、ということになります。買う側の判断材料として、けっこう使えます。
研究データでは、どこまで出ているか
ここからは研究の話です。製品の効能の話ではありませんので、そのつもりで読んでください。
日本の研究(20〜21歳の男子大学生15名)
Nishida ら(2026年, Sensors)は、遠赤外線を放つ衣類と、見た目が同じ対照の衣類を、本人にも測る側にも分からない形で入れ替えて比べています。
| 測ったもの | 結果 |
|---|---|
| REM睡眠の割合 | 22.2% | 対照 18.6%(p=0.027) |
| 鼓膜の温度 | 一晩を通して低かった(p=0.004) |
| 発汗の量 | 睡眠の中盤で差(p=0.026) |
| 自律神経 | 睡眠前半の低周波成分が高い(p=0.027) |
読者と年齢が近い集団で、しかも二重盲検です。ここは素直に「差が出ている」と言っていい部分だと思います。
体温が下がって汗が減る、というのは「熱がこもりにくい」ということでもあります。寝るときに暑くて目が覚める選手には、意味がある話かもしれません。
ただし、睡眠の質そのものは証明されていません
もうひとつ、Chen ら(2023年, Int J Environ Res Public Health)の研究があります。眠りの質が悪い成人40名を、遠赤外線パジャマと偽物のパジャマに分けて6週間比べたものです。
- 睡眠の質のスコアは両群とも良くなったが、群の間に差はなかった
- 身体的な疲労のスコアは、効果量としては大きかったが統計的には有意ではなかった
さらに著者自身が、「偽物のパジャマが偽物だと分かってしまった」ことを限界として挙げています。参加者の85%が女性で、平均年齢は51歳。脳波も測っていません。
この2つから言えること/言えないこと
言えること:体温や発汗といった測れる数字には、差が出たという報告がある。
言えないこと:「着れば眠りが良くなる」。研究の数も規模も足りませんし、そもそも法律上、そう表示することはできません。15人・健康な若い男性という条件も忘れないでください。
届出があるかを、どこで見るか
買うときに見るのは、商品ページに届出番号が書いてあるかです。
こういう形式の番号です。
11B1X10025301801(一般医療機器の届出番号の例)
この届出をするには、赤外線の放射性能が通常の衣類より5%以上高いなど、決められた試験基準に適合している必要があります。逆に言えば、届出のない「リカバリーウェア風の服」は、この確認を通っていません。
番号が書いていない、問い合わせても出てこない。その場合はただの部屋着だと思ってください。それが悪いわけではありませんが、値段が部屋着の水準を超えているなら、考え直したほうがいいです。
着心地=寝返りのしやすさ、という見方
ここが、僕がいちばん言いたいところです。
研究は「着心地」を測っていません。体温も発汗もREM睡眠も測っていますが、「寝返りが打ちやすいか」は測っていない。
でも現場で見ていると、そこがけっこう大きい気がしています。
このサイトでは、マットレスも枕も、判断の基準は「寝返りが打てるか」で統一してきました。着るものだけ別、ということはないはずです。
試すときは、着て寝返りを打ってみる
- 締め付けが強すぎないか。圧をかけるタイプは、寝るときには向かないことがあります
- 縫い目やタグが当たらないか。横向きになったときに肩や腰に当たるものがあります
- 裾や袖がまとわりつかないか。寝返りのたびにねじれる服は、朝までに必ずストレスになります
- 暑すぎないか。冬用の厚手を夏に着ると、当然しんどいです
これは遠赤外線があってもなくても関係のない、ただの衣類としての条件です。でも、毎晩6〜9時間着るものなので、ここが合わないと続きません。続かない道具に意味はありません。
届出があるから安心、でもない
最後に、知っておいたほうがいいことを書きます。
2025年8月、厚生労働省がこの分野のQ&Aを改訂しました。そこでこう明記されています。
衣類の一部分だけに機能があるものは、この分類の定義に該当しない。
分かりやすく言うと、プリントされた部分だけが機能している、というような製品は駄目です、服全体で機能していないといけません、ということです。
そして実際に、届出をしていたにもかかわらず、この基準に照らして自主回収に至った製品があります。
つまり「届出番号があるから絶対に大丈夫」ではありません。届出は最低ラインであって、保証ではない。ここは正直に書いておきます。
まとめ
- 「効きますか」への僕の答えは「正直わからない。けど着心地がいい可能性はある」
- 買うなら一般医療機器の届出があるもの。届出番号が公開されているかを見る
- リカバリーウェアは睡眠の道具ではなく血行の道具
- 表示できる効能は血行促進/筋肉のこりをほぐす/疲労回復/筋肉の疲れをとるの4つだけ。「よく眠れる」は表示できない
- 研究データでは体温・発汗・REM睡眠の割合に差が出た報告がある(15名・健康な若い男性)。ただし睡眠の質の改善は証明されていない
- 睡眠時間・スマホ・室温が整っていないなら、そっちが先
- 選ぶときは着て寝返りを打ってみる。締め付け・縫い目・裾のまとわりつきを見る
- 2025年8月のQ&A改訂で「一部分だけ機能」は不可と明記。届出済みでも自主回収に至った例がある
この記事で参照した研究・資料
- Physiological Effects of Far-Infrared-Emitting Garments on Sleep, Thermoregulation, and Autonomic Function(Nishida ら, Sensors, 2026;26(2):550) — 健康な男子大学生15名。ランダム化・二重盲検・クロスオーバー。REM睡眠の割合22.2% vs 18.6%(p=0.027)、鼓膜温が低い(p=0.004)、発汗率に差(p=0.026)。著者は「健康な若い男性のみで、女性・高齢者・睡眠に問題のある人には一般化できない」ことを限界として挙げている
- Improving Sleep with Far-Infrared-Emitting Pajamas: A Pilot Randomized Controlled Trial(Chen ら, Int J Environ Res Public Health, 2023) — 睡眠の質が悪い成人40名、6週間。睡眠の質は両群とも改善したが群間差なし。疲労スコアは効果量が大きいが有意ではない。著者は偽物のパジャマが見分けられてしまったことを限界として挙げている
※ 研究結果は、特定の製品の効果を示すものではありません。また、これらの研究結果をもって「睡眠が改善する」旨を表示することは、一般医療機器として認められていません。
※ 本記事で挙げた製品は、筆者が個人的に使用しているものではなく、「一般医療機器の届出がある」という条件で取り上げています。
※ 価格・仕様・届出状況は変わることがあります。購入前に必ず公式サイトで確認してください。
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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医師による診断・治療に代わるものではありません。効果には個人差があります。痛みやしびれが続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。