マットレスは、スペックを比べても答えが出ません。
厚みが何センチ、コイルが何個、反発が何ニュートン。調べれば数字はいくらでも出てきますが、その数字を見て「自分に合うかどうか」を当てられる人はいません。僕も当てられません。
では現場の選手はどうやって選んでいるのか。聞いてみると、答えははっきりしていました。
先に結論だけ知りたい人へ
選手はブランドで選んでいません。
試して合ったものを残すか、外しても痛手の小さいものを選んでいます。
だから見るべきは「どれがいいか」ではなく、「試せるか」か、「外しても戻せる金額か」のどちらかです。現場で名前が挙がる4つを並べると、そこがきれいに分かれます。
現場で名前がよく挙がる4つ
選手に「マットレス何使ってる?」と聞くと、だいたいこの4つが出てきます。
NELL(ネル)マットレス
いちばんよく聞く名前です。120日間のフリートライアルがあり、合わなければ返品できます。保証は10年。価格はシングルで79,900円、ダブルで109,900円です(2026年9月時点)。
エマ・スリープ(Emma)
こちらもよく出てきます。100日間のお試し期間と10年保証。セールの頻度が高く、定価82,800円のモデルが49,680円になっていることもあります(2026年9月時点)。
エアウィーヴ
これもよく聞きます。公式オンラインストアで買った場合、最大30日間の返品ができます(受注生産品などを除く)。ただし返品送料は自己負担で、公式ストアと電話での注文以外は返品の対象外です。スタンダードタイプでシングル64,800円(2026年9月時点)。
エムリリー(MLILY)
ここは性格がちがいます。寝てみて合わなければ返す、という制度がありません。公式ショップの案内は「未使用・未開封であれば7日以内に返品可能」。つまり開けたら返せません。
そのかわり、価格が違います。シングルで2万円台から。ほかの3つが5万〜8万円なので、明らかに別の階層です。
「この4つが一番いい」という話ではありません
誤解のないように書いておきます。
僕が見ているのは、自分の体ではなく、選手の体です。何十人がどれを使っていて、朝どんな動きで来るか。そこを見た上で話しています。
だから「このブランドが優れている」という書き方はしません。言えるのは、現場で名前が挙がる回数が多いということと、その選手たちが何を基準に選んだかです。この記事で本当に伝えたいのは、後者のほうです。
この4つより自分に合うマットレスは、いくらでもあります。
選手がそれを選んだ理由は、ブランドじゃない
「なんでそれにしたん?」と聞いたときの答えが、そろっていました。
現場でいちばん多い答え
お試し期間で使ってみて、それで合ったやつを使ってる。
広告を見て決めた、口コミが良かったから決めた、という話はほとんど出てきません。試して、体に合ったから、そのまま使っている。それだけです。
これは、けっこう大事なことを言っていると思います。
マットレスは、買う前に良し悪しが分からない商品です。だから選手は、「良いものを当てる」のではなく「外したら戻せる」ほうを選んでいる。結果的に、お試し期間のあるブランドに人が集まっている、という順番です。
なぜ、試すしかないのか
判断の基準は「寝返りが打てるか」
マットレスの硬さは、中程度からやや硬めが目安になります。
柔らかすぎると腰が沈み、腰だけ落ちた姿勢で何時間も過ごすことになります。逆に硬すぎると、肩と腰という出っ張った部分に圧が集中します。どちらも、朝起きたときの体の重さにつながります。
では自分にとってどうなのか。判断の基準は1つでいいと思っています。
寝返りが打てるかどうかです。
寝返りは、体が自分で圧を逃がしている動きです。同じ場所に体重がかかり続けないように、無意識にやっています。その寝返りが打ちにくいマットレスは、柔らかすぎて体が沈み込んでいるか、体が動きにくい状態になっています。
店で5分寝ても分からない
店頭で寝転がるのは、やらないよりずっといいです。ただ、それで分かるのは「寝た瞬間の感触」までです。
靴と同じだと思ってください。履いた瞬間の感触と、10km走ったあとの感触は別物です。マットレスも、6時間から9時間乗ったあとにどうなっているかが本番です。5分では出てきません。
だから、家で何日も寝てみるしかない。お試し期間というのは、そのための仕組みです。
お試し期間の中身を、正確に見ておく
| NELL | エマ | エアウィーヴ | エムリリー | |
|---|---|---|---|---|
| お試し期間 | 120日 | 100日 | 最大30日 | なし |
| 返品できるまで | 到着から14日以上 | 15日以降 | 期間内ならいつでも | 未開封で7日以内のみ |
| 返送料 | 無料(沖縄・離島を除く) | 無料・手数料なし | 自己負担 | — |
| 買う場所の指定 | — | — | 公式ストア/電話のみ | — |
| 価格の目安(シングル) | 79,900円 | 49,680円〜 | 64,800円 | 2万円台〜 |
「試せる」の中身が、ぜんぜん違う
同じ「返品できます」でも、横一列ではありません。
NELLとエマは、返送料もかからず期間も100日以上。ここは本当に試せます。ただし2週間ほど使わないと返品できません(NELLは到着から14日以上、エマは15日以降)。「1日寝て違ったから返す」はできない設計です。これは意地悪ではないと思っています。理由はこのあと書きます。
エアウィーヴは30日で、返送料は自己負担。買う場所も公式ストアか電話に限られます。試せますが、条件は厳しめです。
エムリリーは、そもそも試せません。開けたら返せない。ここは最初から別の選び方をする必要があります。
返品できない理由もある
ここは先に決めておく
NELLでは、サイズを間違えた・色味が想像と違ったといった、寝心地に関係のない理由での返品は受け付けていません。「とりあえず頼んで、合わなかったらサイズを変える」という使い方はできない、ということです。
エマの場合は、カスタマーサポートに連絡してアンケートに答え、梱包して指定の倉庫へ着払いで送り、伝票の控えをメールする、という流れです。返金は返却確認後、原則10営業日以内。
エアウィーヴは、買う場所を間違えると返品できません。公式オンラインストアか電話での注文以外は対象外です。安く売っているところを見つけても、返品を前提にするなら公式で買ってください。
どれも難しい手続きではありませんが、「連絡すれば終わり」ではないことは知っておいてください。
その2週間は、体が慣れる時間でもある
寝具を変えた直後は、違和感が出ることがあります。今までと支えられ方が変わるので、当たり前といえば当たり前です。
ここで多いのが、2日か3日で「合わない」と決めてしまうことです。
体には、新しい支え方に慣れるまでの時間があります。最初の数日だけで判断すると、本来なら合っていたものを手放すことになりかねません。
そう考えると、各社が設定している2週間という最低期間は、返品を減らすための仕掛けというより、判断するのに必要な時間として見るとちょうどいい長さです。
2週間寝てみて、それでも朝の体が重い。寝返りが打ちにくい。そこまで来たら、それは合っていません。返してください。それができる商品を選んだのだから、使わないほうがもったいないです。
ただし、これは別
使い始めて痛みが出た場合は、2週間を待つ必要はありません。違和感と痛みは別物です。もともと腰や首に症状がある人は、我慢して寝続けないでください。
試せないものを選ぶなら、金額で守る
ここまで「試せるかで選ぶ」と書いてきましたが、試せないものが悪いわけではありません。
8万円のマットレスを試さずに買って外したら、8万円が消えます。でも2万円なら、外しても2万円です。痛くないとは言いませんが、立ち直れます。
守り方は2つあります。
| 守り方 | 向いている場面 |
|---|---|
| 返せるようにしておく | 5万円以上の買い物。お試し期間・返送料・買う場所の条件を先に確認する |
| 外しても痛くない金額にする | 試せない商品。まず安いもので「自分は硬めが好きか柔らかめが好きか」を知る |
やってはいけないのは、その両方を外すことです。試せないうえに高い、という買い方がいちばん危ない。
自分の好みがまだ分からないなら、安いもので一度確かめてから、高いものにいくのが結局いちばん失敗しません。最初から本命を当てにいかなくていいです。
遠征が多いなら、持ち運べるものを別に持つ
家のマットレスをどれだけ整えても、遠征に行けばホテルのベッドです。そこは選べません。柔らかすぎるか硬すぎるかの、だいたいどちらかになります。
遠征が多い選手には、持ち運べる薄手のマットレスを勧めることがあります。西川など、たたんで運べるタイプです。ホテルのベッドの上に1枚敷くだけでも、いつもの寝心地に近づきます。
これは家用の置き換えではなく、別枠で考えてください。遠征が年に何度もある選手なら、その何十泊分の睡眠が変わるので、十分に元は取れます。逆に遠征がほとんどない人には要りません。家のほうにお金を使ったほうがいいです。
買う前に決めておくこと、3つ
| 決めること | 理由 |
|---|---|
| サイズ | サイズ違いは返品の理由にならないことがある。今使っているものを測ってから注文する |
| 置き場所と搬入 | 圧縮して届くものが多いが、開封後は簡単には動かせない。部屋に入るか先に確認する |
| 返品の期限と連絡先 | 届いた日をメモしておく。「いつまでに連絡すればいいか」を最初に確認しておく |
いちばん多い失敗は、お試し期間があることを忘れて、期限を過ぎることです。届いた日にカレンダーへ「返品期限」を入れておいてください。それだけで防げます。
まとめ
- 現場の選手は、ブランドではなく「試して合ったもの」を使っている
- マットレスは買う前に良し悪しが分からない。だから「試せるか」か「外しても戻せる金額か」で選ぶ
- 「返品できます」の中身は横一列ではない。期間・返送料・買う場所まで見る
- 硬さの目安は中程度からやや硬め。判断の基準は寝返りが打てるか
- 店で5分寝ても分からない。6〜9時間乗ったあとがどうかで決まる
- NELLとエマは最低2週間ほど使わないと返品できない。そこは体が慣れる時間でもある
- 試せないものを選ぶなら、金額で守る。試せないうえに高い、がいちばん危ない
- 痛みが出たら別。2週間を待たずにやめる
- 遠征が多いなら、持ち運べるものを別枠で持つ
- 注文前にサイズ・置き場所・返品期限の3つを決めておく
この記事で参照した情報
- 120日間フリートライアル|NELL マットレス — お試し期間、返品の条件(到着から14日以上120日以内)、返送料、10年保証の記載
- お試し期間・返品・保証について|エマ・スリープ — 100日のお試し期間、15日以降からの返品、返送料と手数料、返金までの流れ
- 返品について|エアウィーヴ — 最大30日間の返品、対象となる購入方法、返品送料の負担
- エムリリー公式ショップ — 「未使用・未開封であれば7日以内に返品可能」の記載
※ 価格・お試し期間・返品条件は2026年9月時点のものです。変更されることがあるため、購入前に必ず公式サイトで確認してください。
※ 本記事で挙げたマットレスは、現場での聞き取りをもとに、選び方を説明するために取り上げたものです。特定の選手やチームが推奨しているという意味ではありません。
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寝具を変えても、朝の体が重い人へ
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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医師による診断・治療に代わるものではありません。効果には個人差があります。腰痛・首の痛み・しびれなど症状が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。