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現役トレーナー・S.T.R鍼灸院 院長

サッカーの現場でトレーナーとして活動する鍼灸師。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)。学生からプロまで、怪我・リハビリ・コンディショニングの現場対応を専門にしています。

マットレスは、スペックを比べても答えが出ません。

厚みが何センチ、コイルが何個、反発が何ニュートン。調べれば数字はいくらでも出てきますが、その数字を見て「自分に合うかどうか」を当てられる人はいません。僕も当てられません。

では現場の選手はどうやって選んでいるのか。聞いてみると、答えははっきりしていました。

先に結論だけ知りたい人へ

選手はブランドで選んでいません。
試して合ったものを残すか、外しても痛手の小さいものを選んでいます。

だから見るべきは「どれがいいか」ではなく、「試せるか」か、「外しても戻せる金額か」のどちらかです。現場で名前が挙がる4つを並べると、そこがきれいに分かれます。

現場で名前がよく挙がる4つ

選手に「マットレス何使ってる?」と聞くと、だいたいこの4つが出てきます。

NELL(ネル)マットレス

いちばんよく聞く名前です。120日間のフリートライアルがあり、合わなければ返品できます。保証は10年。価格はシングルで79,900円、ダブルで109,900円です(2026年9月時点)。

エマ・スリープ(Emma)

こちらもよく出てきます。100日間のお試し期間と10年保証。セールの頻度が高く、定価82,800円のモデルが49,680円になっていることもあります(2026年9月時点)。

エアウィーヴ

これもよく聞きます。公式オンラインストアで買った場合、最大30日間の返品ができます(受注生産品などを除く)。ただし返品送料は自己負担で、公式ストアと電話での注文以外は返品の対象外です。スタンダードタイプでシングル64,800円(2026年9月時点)。

エムリリー(MLILY)

ここは性格がちがいます。寝てみて合わなければ返す、という制度がありません。公式ショップの案内は「未使用・未開封であれば7日以内に返品可能」。つまり開けたら返せません。

そのかわり、価格が違います。シングルで2万円台から。ほかの3つが5万〜8万円なので、明らかに別の階層です。

「この4つが一番いい」という話ではありません

誤解のないように書いておきます。

僕が見ているのは、自分の体ではなく、選手の体です。何十人がどれを使っていて、朝どんな動きで来るか。そこを見た上で話しています。

だから「このブランドが優れている」という書き方はしません。言えるのは、現場で名前が挙がる回数が多いということと、その選手たちが何を基準に選んだかです。この記事で本当に伝えたいのは、後者のほうです。

この4つより自分に合うマットレスは、いくらでもあります。

選手がそれを選んだ理由は、ブランドじゃない

「なんでそれにしたん?」と聞いたときの答えが、そろっていました。

現場でいちばん多い答え

お試し期間で使ってみて、それで合ったやつを使ってる。

広告を見て決めた、口コミが良かったから決めた、という話はほとんど出てきません。試して、体に合ったから、そのまま使っている。それだけです。

これは、けっこう大事なことを言っていると思います。

マットレスは、買う前に良し悪しが分からない商品です。だから選手は、「良いものを当てる」のではなく「外したら戻せる」ほうを選んでいる。結果的に、お試し期間のあるブランドに人が集まっている、という順番です。

なぜ、試すしかないのか

判断の基準は「寝返りが打てるか」

マットレスの硬さは、中程度からやや硬めが目安になります。

柔らかすぎると腰が沈み、腰だけ落ちた姿勢で何時間も過ごすことになります。逆に硬すぎると、肩と腰という出っ張った部分に圧が集中します。どちらも、朝起きたときの体の重さにつながります。

では自分にとってどうなのか。判断の基準は1つでいいと思っています。

寝返りが打てるかどうかです。

寝返りは、体が自分で圧を逃がしている動きです。同じ場所に体重がかかり続けないように、無意識にやっています。その寝返りが打ちにくいマットレスは、柔らかすぎて体が沈み込んでいるか、体が動きにくい状態になっています。

店で5分寝ても分からない

店頭で寝転がるのは、やらないよりずっといいです。ただ、それで分かるのは「寝た瞬間の感触」までです。

靴と同じだと思ってください。履いた瞬間の感触と、10km走ったあとの感触は別物です。マットレスも、6時間から9時間乗ったあとにどうなっているかが本番です。5分では出てきません。

だから、家で何日も寝てみるしかない。お試し期間というのは、そのための仕組みです。

お試し期間の中身を、正確に見ておく

2026年9月時点。条件は変わることがあるので、購入前に必ず公式で確認してください
NELLエマエアウィーヴエムリリー
お試し期間120日100日最大30日なし
返品できるまで到着から14日以上15日以降期間内ならいつでも未開封で7日以内のみ
返送料無料(沖縄・離島を除く)無料・手数料なし自己負担—
買う場所の指定——公式ストア/電話のみ—
価格の目安(シングル)79,900円49,680円〜64,800円2万円台〜

「試せる」の中身が、ぜんぜん違う

同じ「返品できます」でも、横一列ではありません。

NELLとエマは、返送料もかからず期間も100日以上。ここは本当に試せます。ただし2週間ほど使わないと返品できません(NELLは到着から14日以上、エマは15日以降)。「1日寝て違ったから返す」はできない設計です。これは意地悪ではないと思っています。理由はこのあと書きます。

エアウィーヴは30日で、返送料は自己負担。買う場所も公式ストアか電話に限られます。試せますが、条件は厳しめです。

エムリリーは、そもそも試せません。開けたら返せない。ここは最初から別の選び方をする必要があります。

返品できない理由もある

ここは先に決めておく

NELLでは、サイズを間違えた・色味が想像と違ったといった、寝心地に関係のない理由での返品は受け付けていません。「とりあえず頼んで、合わなかったらサイズを変える」という使い方はできない、ということです。

エマの場合は、カスタマーサポートに連絡してアンケートに答え、梱包して指定の倉庫へ着払いで送り、伝票の控えをメールする、という流れです。返金は返却確認後、原則10営業日以内。

エアウィーヴは、買う場所を間違えると返品できません。公式オンラインストアか電話での注文以外は対象外です。安く売っているところを見つけても、返品を前提にするなら公式で買ってください。

どれも難しい手続きではありませんが、「連絡すれば終わり」ではないことは知っておいてください。

その2週間は、体が慣れる時間でもある

寝具を変えた直後は、違和感が出ることがあります。今までと支えられ方が変わるので、当たり前といえば当たり前です。

ここで多いのが、2日か3日で「合わない」と決めてしまうことです。

体には、新しい支え方に慣れるまでの時間があります。最初の数日だけで判断すると、本来なら合っていたものを手放すことになりかねません。

そう考えると、各社が設定している2週間という最低期間は、返品を減らすための仕掛けというより、判断するのに必要な時間として見るとちょうどいい長さです。

2週間寝てみて、それでも朝の体が重い。寝返りが打ちにくい。そこまで来たら、それは合っていません。返してください。それができる商品を選んだのだから、使わないほうがもったいないです。

ただし、これは別

使い始めて痛みが出た場合は、2週間を待つ必要はありません。違和感と痛みは別物です。もともと腰や首に症状がある人は、我慢して寝続けないでください。

試せないものを選ぶなら、金額で守る

ここまで「試せるかで選ぶ」と書いてきましたが、試せないものが悪いわけではありません。

8万円のマットレスを試さずに買って外したら、8万円が消えます。でも2万円なら、外しても2万円です。痛くないとは言いませんが、立ち直れます。

守り方は2つあります。

守り方向いている場面
返せるようにしておく5万円以上の買い物。お試し期間・返送料・買う場所の条件を先に確認する
外しても痛くない金額にする試せない商品。まず安いもので「自分は硬めが好きか柔らかめが好きか」を知る

やってはいけないのは、その両方を外すことです。試せないうえに高い、という買い方がいちばん危ない。

自分の好みがまだ分からないなら、安いもので一度確かめてから、高いものにいくのが結局いちばん失敗しません。最初から本命を当てにいかなくていいです。

遠征が多いなら、持ち運べるものを別に持つ

家のマットレスをどれだけ整えても、遠征に行けばホテルのベッドです。そこは選べません。柔らかすぎるか硬すぎるかの、だいたいどちらかになります。

遠征が多い選手には、持ち運べる薄手のマットレスを勧めることがあります。西川など、たたんで運べるタイプです。ホテルのベッドの上に1枚敷くだけでも、いつもの寝心地に近づきます。

これは家用の置き換えではなく、別枠で考えてください。遠征が年に何度もある選手なら、その何十泊分の睡眠が変わるので、十分に元は取れます。逆に遠征がほとんどない人には要りません。家のほうにお金を使ったほうがいいです。

買う前に決めておくこと、3つ

決めること理由
サイズサイズ違いは返品の理由にならないことがある。今使っているものを測ってから注文する
置き場所と搬入圧縮して届くものが多いが、開封後は簡単には動かせない。部屋に入るか先に確認する
返品の期限と連絡先届いた日をメモしておく。「いつまでに連絡すればいいか」を最初に確認しておく

いちばん多い失敗は、お試し期間があることを忘れて、期限を過ぎることです。届いた日にカレンダーへ「返品期限」を入れておいてください。それだけで防げます。

まとめ

  • 現場の選手は、ブランドではなく「試して合ったもの」を使っている
  • マットレスは買う前に良し悪しが分からない。だから「試せるか」か「外しても戻せる金額か」で選ぶ
  • 「返品できます」の中身は横一列ではない。期間・返送料・買う場所まで見る
  • 硬さの目安は中程度からやや硬め。判断の基準は寝返りが打てるか
  • 店で5分寝ても分からない。6〜9時間乗ったあとがどうかで決まる
  • NELLとエマは最低2週間ほど使わないと返品できない。そこは体が慣れる時間でもある
  • 試せないものを選ぶなら、金額で守る。試せないうえに高い、がいちばん危ない
  • 痛みが出たら別。2週間を待たずにやめる
  • 遠征が多いなら、持ち運べるものを別枠で持つ
  • 注文前にサイズ・置き場所・返品期限の3つを決めておく

この記事で参照した情報

※ 価格・お試し期間・返品条件は2026年9月時点のものです。変更されることがあるため、購入前に必ず公式サイトで確認してください。
※ 本記事で挙げたマットレスは、現場での聞き取りをもとに、選び方を説明するために取り上げたものです。特定の選手やチームが推奨しているという意味ではありません。

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寝具を変えても、朝の体が重い人へ

マットレスを見直しても改善しない場合、原因が寝具ではないことがあります。日中の姿勢、股関節や胸郭のかたさ、練習量に対する回復の追いつかなさ——見るべきところは人によって違います。S.T.R鍼灸院では、睡眠の質と体のコンディションを合わせて見ていきます。お気軽にご相談ください。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医師による診断・治療に代わるものではありません。効果には個人差があります。腰痛・首の痛み・しびれなど症状が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。