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現役トレーナー・S.T.R鍼灸院 院長

サッカーの現場でトレーナーとして活動する鍼灸師。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)。学生からプロまで、怪我・リハビリ・コンディショニングの現場対応を専門にしています。

「このプロテイン、飲んでも大丈夫ですか」——競技をしている選手から、いちばんよく聞かれる質問です。

僕の答えは決まっています。選手の場合は、100%、インフォームドチョイスが付いているものの中から選ばせます。

候補はいくつか教えます。でも、最後に選んで確認するのは本人です。理由も含めて、この記事に書きます。

結論:サプリを飲むなら、認証マークだけは確認してください

やること理由
まず食事で足りているか確認するサプリは「補う」もの。土台がなければ意味がない
認証マークがある製品だけを選ぶ表示されていない物質が入っている可能性を潰せる
自分で探して、自分で確認する最終的に責任を負うのは自分だから

この3つだけです。難しい話ではありません。ただし、3つ目がいちばん大事です。

サプリを選ぶ前に、大事なこと

認証の話をする前に、先に言っておきたいことがあります。

サプリは、足りないものを補うためのものです。食事が整っていない状態でサプリを足しても、埋まりません。

朝を抜いている。練習後に何も食べていない。夜は菓子パン。この状態でプロテインだけ飲んでも、体は変わりません。先に埋めるべき穴が別にあります。

現役トレーナーの視点

「何を飲んだらいいですか」と聞かれたとき、僕がまず聞き返すのは「昨日は何を食べた?」です。
そこで答えが詰まる選手は、サプリの話をする段階じゃありません。飯が先です。
そのうえで、それでも足りない・時間がない・食べられないという事情があるなら、はじめてサプリの話になります。

そして、そこまで来てはじめて「じゃあ、どれを選ぶか」の話になります。ここからが本題です。

ドーピングについて

ドーピングというと、意図的に薬を使って記録を伸ばす——そんなイメージがあると思います。

でも競技の現場で本当に怖いのは、そっちではありません。

怖いのは、本人にまったくその気がないのに、飲んでいたサプリに禁止物質が入っていて、検査で引っかかるケースです。いわゆる「うっかりドーピング」と呼ばれるものです。

なぜ、普通のサプリに禁止物質が混ざるのか

理由ははっきりしています。サプリメントは、法律上「食品」だからです。

日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は、こう説明しています。サプリメントは食品に分類されるため、商品の成分表に全ての原材料を記載する義務がありません(JADA「アンチ・ドーピングとサプリメント」)。

つまり——ラベルに書いていない物質が入っている可能性が、制度上あるということです。

悪意のあるメーカーの話をしているわけではありません。同じ工場の同じラインで別の製品を作っていれば、わずかに混ざることがあります。原材料の段階で混ざっていることもあります。

ラベルを何回読んでも、これは見抜けません。書いていないものは、読めないからです。

ドーピングに引っかからないサプリの選び方

では、どうするか。第三者が製品そのものを検査している証明を見る。これしかありません。

探すべきマークは、実質2つ

認証運営位置づけ
インフォームドチョイス英国 LGC社国際基準。これを探す
インフォームドスポーツ英国 LGC社同上。競技者向け

この2つは、製造ロットごとに製品を抜き取って検査しています。さらに、認証を出したあともLGC社が自分で製品を買って抜き打ちで調べ続けます(JADA「サプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドライン」)。

「一度検査して終わり」ではないところが重要です。作り続けている限り、見張られている。だからマークが意味を持ちます。

「認証あり」を全部同じだと思わないでください

ここが、他ではあまり書かれていない部分です。

日本国内にも、独自にドーピング検査を行うプログラムがあります。たとえばAnti Doping Action(アンチ・ドーピング・アクション)は、(同)イルホープが運営し、WADAの禁止物質リストとJADAのガイドラインをもとに製品を分析しています。

これ自体は真っ当な取り組みです。何もしていないメーカーとは全く違います。

ただし、国際的に通用する第三者認証とは、別のものです。

言い方を変えると、こうなります。
・国際大会に出る/出る可能性がある選手 → インフォームドチョイス以外は選ばない
・国内の競技者 → 国内プログラムでも一定の担保にはなる。ただし上を選べるなら上を選ぶ
・認証がまったくない製品 → 競技者は避ける

認証がない=悪い製品、ではありません。味も品質も優れたプロテインはたくさんあります。ただ、「検査されていないことを証明できない」というだけで、競技者にとっては選べない理由になります。

そして、最後は選手に「選ばせます」

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

選手に聞かれたとき、認証マークの付いた候補はいくつか教えます。ただし「これを飲め」とは言いません。最後にどれにするかを選んで、マークを自分で確認するのは本人です。例外なく、100%です。

現役トレーナーの視点

僕が1つに決めてあげたら、その場は解決します。でもその選手は、また次も同じことを人に聞きます。
遠征先で誰かにサプリを勧められたとき。差し入れをもらったとき。海外で現地のものを買うとき。そのとき隣に僕はいません。
自分でマークを確認する癖がついていない選手は、いつかどこかでやられます。だから、面倒でも最後の確認は自分でさせます。

1回探せば、5分で終わる作業です。その5分の習慣が、競技人生を守ります。

ドーピングは、自己責任だということ

厳しい話をします。ここを理解していない選手が、いちばん危ないです。

JADAは、はっきりこう書いています。表示されていない物質が原因でルール違反になった場合でも、「アスリートはその責任を自身でとらなくてはなりません」(JADA「アンチ・ドーピングとサプリメント」)。

つまり、こういうことです。
・メーカーがラベルに書いていなかった → 言い訳にならない
・チームメイトにもらった → 言い訳にならない
・監督やトレーナーに勧められた → 言い訳にならない
・知らなかった → 言い訳にならない

体に入れたものの責任は、入れた本人が負います。これがアンチ・ドーピングの大原則です。

だから僕は、候補は出しても、1つに指定はしません。僕が指定して、それで何かあっても、責任を取るのは僕ではなく選手本人だからです。それなら最初から、自分で確認できるようになってもらったほうがいい。

冷たく聞こえるかもしれません。でも、これが選手を守る唯一のやり方だと思っています。

ドーピングに引っかかると、どうなるのか

最後に、実際に何が起きるかを書きます。ここを知らずにサプリを選んでいる選手が、多すぎます。

資格停止は、原則4年

特定物質に該当しない物質での違反の場合、意図的な使用ではないことを本人が立証しない限り、原則4年間の資格停止となります。特定物質の場合でも、意図的でないと立証できなければ最大2年です(JADA「資格停止期間を決めるルール」)。

「意図的じゃなかった」と言うだけでは足りません。立証するのは自分です。

4年という数字の意味を考えてください。オリンピックもワールドカップも、1回まるごと飛びます。高校生なら、高校生活が終わります。

失うのは、出場権だけではない

起きること内容
成績の失効メダル・得点・賞金がはく奪される
チームへの波及チームで3名以上が違反すると、チームの得点はく奪・失効措置
全活動の禁止競技会への参加、チーム活動、コーチングまで——スポーツに関わる全ての活動が禁止

出典:JADA クリーンスポーツ・アスリートサイト「制裁」

3つ目を、もう一度読んでください。

資格停止中にできなくなるのは、試合に出ることだけではありません。チームの活動に関わることも、人に教えることもできません。

つまり——「選手として終わる」だけでなく、「指導者として再出発する」道も、その期間は閉じます。

自分ひとりの問題でもありません。チームの成績まで消える可能性があります。一緒に戦ってきた仲間の記録が、自分のサプリのせいで消える。これがいちばんきついと思います。

なお、年齢や競技レベルによっては制裁が軽くなったり、情報が公開されない配慮がなされる場合があります。ただしそれは「軽くなることもある」という話であって、当てにできるものではありません。軽減を主張するには、自分で立証する必要があります。

まとめ

  • サプリの前に食事。土台がない状態で足しても埋まらない
  • サプリは法律上「食品」で、全原材料の表示義務がない。ラベルでは見抜けない
  • 探すのはインフォームドチョイス/インフォームドスポーツ。ロットごと検査+抜き打ちで見張られている
  • 「認証あり」を一括りにしない。国内プログラムと国際認証は別物
  • 認証なし=悪い製品ではない。ただし競技者は選べない
  • 責任は100%本人。メーカーも、勧めた人も、責任は取ってくれない
  • 引っかかれば原則4年。成績は消え、コーチングを含む全活動が禁止される
  • だから僕は候補は教えても、選んで確認するのは選手本人にさせる。5分の習慣が競技人生を守る

Consultation

サプリの前に、体の状態を見せてください

「何を飲めばいいか」の前に、そもそも何が足りていないのか、どこに負担が集中しているのかを知るほうが早いことがあります。国家資格を持つ鍼灸師・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーとして、競技を続けながら体を整える方法を一緒に考えます。S.T.R鍼灸院までお気軽にご相談ください。

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S.T.R鍼灸院(大阪・福島区)

出典

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。アンチ・ドーピング規則および制裁の内容は改定されることがあります。実際の判断にあたっては、必ず日本アンチ・ドーピング機構(JADA)および所属競技団体の最新の公式情報を確認してください。特定の製品が禁止物質を含まないことを保証するものではありません。服薬中の方、持病のある方は医師・薬剤師にご相談ください。