「何を食べたらいいですか」と聞かれることが、よくあります。
答えはシンプルです。毎食、5つそろえる。それだけで、ほとんどの選手は足ります。
サプリの話も、グラム数の計算も、その後です。
結論:毎食、この5つをそろえる
国立スポーツ科学センター(JISS)が示している「アスリートの食事の基本形」がこれです。
| そろえるもの | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| ① 主食 | 体を動かすエネルギー源 | ご飯・パン・パスタ |
| ② 主菜 | 筋肉・骨・血液をつくる | 肉・魚・卵・豆腐 |
| ③ 副菜 | 体調を整える。骨や血液の材料 | 野菜・きのこ・海藻 |
| ④ 牛乳・乳製品 | 骨をつくるのに欠かせない | 牛乳・ヨーグルト・チーズ |
| ⑤ 果物 | 疲労回復・コンディショニング | バナナ・みかん・キウイ |
JISSは、この5つを毎食そろえることで、必要なエネルギーと栄養素がとれるとしています。
難しい計算はいりません。並んでいるか、抜けているか。それだけを見ます。
足りていない選手は、だいたい同じところが抜けている
現場で食事の話を聞くと、抜けている場所には偏りがあります。
| 抜けやすいもの | 起きること |
|---|---|
| ① 主食(ご飯の量が少ない) | 後半で動けなくなる。ガソリンが足りていない状態 |
| ⑤ 果物(そもそも食べる習慣がない) | 疲れが抜けにくい。ビタミンCが不足する |
| ④ 牛乳・乳製品 | カルシウム不足。疲労骨折のリスクに関わる |
意外に思われるかもしれませんが、「主菜(肉・魚)が足りない」選手は、実はそこまで多くありません。タンパク質は意識されやすいからです。
足りていないのは、ご飯と果物です。
「プロテインを飲んでいるので大丈夫です」という選手がいます。
でも、エネルギーが足りていないと、タンパク質は筋肉づくりではなくエネルギー源として使われます。
ご飯を食べずにプロテインを飲むのは、いちばんもったいない食べ方です。
体重×何グラム、という考え方
「5つそろえる」ができるようになったら、次は量の話です。ここで初めて数字が出てきます。
米国スポーツ医学会(ACSM)・米国栄養士会・カナダ栄養士会の合同声明では、次のように示されています。
| 栄養素 | 1日あたりの目安(体重1kgあたり) | 体重60kgなら |
|---|---|---|
| タンパク質 | 1.2〜2.0g | 72〜120g |
| 炭水化物(練習量が多い時期) | 8〜12g | 480〜720g |
出典:ACSM/米国栄養士会/カナダ栄養士会 合同声明「Nutrition and Athletic Performance」(2016)
炭水化物の数字を見てください。タンパク質の何倍もあります。
体重60kgの選手で、練習量が多い時期なら1日480〜720g。ご飯茶碗1杯(150g)に炭水化物は約55g入っているので、ご飯だけで換算すると1日9〜13杯ぶんになります。
もちろんパン・麺・いも・果物からもとれるので、全部をご飯で食べる必要はありません。ただ——「そんなに食べてない」と思った選手は、足りていません。
現役トレーナーの視点グラム数を毎回計算する必要はありません。そんなことを続けられる選手はほとんどいません。
見るのは「ご飯の量が減っていないか」です。練習がきつい時期ほど食欲が落ちて、ご飯から減っていきます。いちばん減らしたらあかんものから減るのが厄介なところです。
量が食べられないなら、回数を増やす。それが次の記事で書く「補食」の話になります。
朝を抜くと、その日は取り返せない
ここが、いちばん現実的な問題です。
1日に必要な量が上のとおりだとすると、3食でも足りるかどうかです。そこから1食抜くと、残り2食で取り返すことになります。
物理的に無理です。1回に食べられる量には限界があります。
朝を抜いた日に起きること
・午前中のエネルギーが足りない(学校の授業中から始まっている)
・午後の練習に、すでに不足した状態で入る
・夜に食べても、その日の練習には間に合わない
食べる時間がないなら、おにぎり1つでも、バナナ1本でもかまいません。ゼロと1では全然違います。
「朝は食べられない」という選手は、前の日の夜が遅いか、多すぎるかのどちらかであることが多いです。朝を変えるより、夜を早めるほうが早い場合があります。
まず、ここから始めてください
いきなり全部やろうとすると続きません。順番があります。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 3食、抜かない(朝が最優先) |
| 2 | 毎食、5つそろっているか見る |
| 3 | ご飯の量を減らさない |
| 4 | 足りない日は、補食で回数を増やす |
| 5 | それでも足りないなら、サプリを検討する |
5番が最後にあることに注目してください。サプリは、1〜4をやったうえで足りない分を補うものです。順番を逆にすると、お金がかかるわりに何も変わりません。
まとめ
- 毎食①主食 ②主菜 ③副菜 ④牛乳乳製品 ⑤果物をそろえる。これでほぼ足りる
- 足りていない選手は、ご飯と果物が抜けていることが多い
- エネルギーが足りないと、タンパク質は筋肉ではなくエネルギーとして使われる
- 目安はタンパク質 体重×1.2〜2.0g/炭水化物 体重×8〜12g(練習量が多い時期)
- 炭水化物はタンパク質の何倍も必要。「そんなに食べてない」なら足りていない
- 朝を抜いた日は、取り返せない。おにぎり1つでもゼロとは違う
- サプリはいちばん最後
次の記事では「試合の前・当日・後に何を食べるか」を書きます。 練習しても伸びない選手のエネルギー不足については 貧血とエネルギー不足の記事、 回復の土台としての睡眠は 睡眠がすべての土台 にまとめています。 サプリを検討する段階の人は 競技者のサプリ選び を先に読んでください。
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食べているのに動けない、が続くなら
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出典
- 国立スポーツ科学センター(JISS)「アスリートの食事の基本」 — 食事の基本形(主食・主菜・副菜・牛乳乳製品・果物)
- Thomas DT, Erdman KA, Burke LM.「Nutrition and Athletic Performance」ACSM/米国栄養士会/カナダ栄養士会 合同声明, 2016 — タンパク質・炭水化物の摂取量の目安
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医師・管理栄養士による個別の指導に代わるものではありません。必要な量には体格・競技・練習量・成長段階による個人差があり、紹介した数値はあくまで目安です。持病がある方、食物アレルギーのある方、体重管理が必要な方は、必ず医療機関や専門家にご相談ください。