しっかり寝ている。ケアもしている。練習量も落としてみた。それでも疲れが抜けない、練習しても伸びない——そんなときに、見落とされがちな原因があります。
それは「体に入ってくるエネルギーが、足りていない」という可能性です。つまり、練習のしすぎではなく、食べる量が追いついていないケース。この記事では、この"燃料不足"について解説します。
はじめにお伝えしておくと、これは「もっと食べる必要があるかもしれない」という話です。減らす話は一切出てきません。そして最終的な判断には医療機関での検査が必要な内容なので、この記事は「気づくためのきっかけ」として読んでください。
練習量ではなく、"燃料"が足りていないことがある
体を動かすには、当然エネルギーが要ります。練習で使うエネルギーに対して、食事から入ってくるエネルギーが少ない状態が続くと、体はさまざまな機能を維持できなくなっていきます。
この状態は、スポーツ医学では「相対的エネルギー不足」と呼ばれ、ホルモン、代謝、血液、免疫、骨、そして心の状態まで、全身に影響が及ぶことが知られています。
大事なのは、"わざと減量していなくても起こる"ということ。「練習量が増えたのに、食事は前と同じまま」——これだけで、エネルギーは足りなくなります。本人にまったく自覚がないまま進むことも多く、そこがこの問題の厄介なところです。
サインとして出てくること
エネルギーが足りない状態が続くと、こうしたことが起こりやすくなるとされています。
- 疲れが抜けない・回復が遅い
- 練習しているのに伸びない(トレーニングに体が反応しない)
- 怪我を繰り返す。とくに疲労骨折を繰り返すのは要注意のサイン
- 風邪をひきやすい、体調を崩しやすい
- 集中力が続かない、気分が落ち込む、イライラする
- 女子選手の場合、生理が不順になる・止まる
並べてみると分かる通り、これらは前回の"頑張りすぎ"のサインとよく似ています。ここが難しいところで、「練習のしすぎ」なのか「燃料不足」なのか、症状だけでは見分けがつきません。だからこそ、練習量を落としても改善しない場合に、この可能性を思い出してほしいのです。
女子選手へ:生理の変化は、大事なサイン
生理が不順になったり止まったりするのは、体からの重要なメッセージです。「競技をしていれば普通のこと」と片づけないでください。放置すると骨の健康にも関わってきます。
言いにくいことかもしれませんが、信頼できる大人や医療機関に相談してほしいと思います。ピルなどで生理だけを整えても、根本にあるエネルギー不足は解決していないことがあります。原因から見てもらうことが大切です。
もうひとつの落とし穴:鉄不足
あわせて知っておいてほしいのが鉄不足です。鉄は、酸素を全身に運ぶために欠かせない材料。ここが不足すると、酸素をうまく運べなくなり、すぐ息が上がる・だるい・回復しないといった状態になります。
選手は、運動によって鉄の必要量が増えるうえに、食事から十分に摂れていないことも重なりやすい。さらに厄介なのが、鉄が不足すると食欲そのものが落ちると考えられていること。食べられない → さらにエネルギーも鉄も不足する、という悪循環に入りやすいのです。
!鉄のサプリメントを自己判断で飲まないでください
「だるいから鉄を飲もう」——これは危険です。鉄は摂りすぎても体に害があります。そもそも本当に鉄が足りていないのかは、血液検査をしないと分かりません。だるさの原因が鉄ではなく、まったく別の病気であることもあります。必ず医療機関で検査を受けて、医師の指示に従ってください。
どうすればいいか
正直に書きます。ここから先は、トレーナーの領域ではなく医療の領域です。私たちは診断できませんし、この記事も診断の代わりにはなりません。そのうえで、選手にできることは次の3つです。
| やること | 中身 |
|---|---|
| ① 練習量と食事量を見比べる | 「練習が増えたのに、食事は前のまま」になっていないか。増えた分、食べる量も増やす必要があります |
| ② 一人で抱えない | 指導者・保護者・トレーナーに正直に話す。言い出しにくいことほど、早く言うほうが結果的に近道です |
| ③ 医療機関で検査を受ける | 血液検査などで原因を調べる。思い込みで対処せず、まず調べるのが安全で確実です |
※ 食事の具体的な内容や量は、体格・年齢・練習量によって一人ひとり違います。自己流で決めず、必要に応じて専門家(管理栄養士・スポーツドクターなど)に相談してください。
現役トレーナーの視点「めちゃくちゃ練習しているのに伸びない選手」は、確かにいます。ただ正直に言うと、その原因が何かを僕が断定することはできません。試合に出られているかどうかなど、他の要因も絡むからです。
そしてもうひとつ正直に書くと、僕は選手全員の食事量までは把握できていません。体重は見ていても、何をどれだけ食べているかまでは、たまに話を聞く程度です。つまり、この問題は現場の目からもこぼれ落ちやすい。だからこそ、選手自身に知っておいてほしいんです。
まとめ
- 疲れが抜けない原因が、練習量ではなく「エネルギー不足(食べる量の不足)」のことがある
- わざと減量していなくても起こる。「練習が増えたのに食事は同じ」で十分起こりうる
- サインは、疲労・伸び悩み・繰り返す怪我や疲労骨折・体調を崩しやすい・気分の落ち込み・生理の乱れ
- 症状は"頑張りすぎ"とよく似ている。練習量を落としても改善しないときは、この可能性を思い出す
- 鉄不足も、だるさ・息切れ・回復の遅れの原因になりうる
- 鉄のサプリメントの自己判断はNG。必ず検査を受けて医師の指示で
- 最終的な判断は医療の領域。思い込まず、まず調べる
Consultation
原因が分からない不調こそ、一度整理を
「休んでも抜けない」「やっても伸びない」——原因が体の使い方なのか、回復なのか、それとも別のところにあるのか。切り分けるだけでも、次に打つ手がはっきりします。S.T.R鍼灸院では、コンディションの見立てと、必要に応じた医療機関への相談のご案内も行っています。お気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちらS.T.R鍼灸院(大阪・福島区)
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医師による診断・治療に代わるものではありません。ここで挙げた症状は、他の病気が原因である可能性もあります。気になる症状が続く場合は、自己判断せず必ず医療機関を受診してください。また、食事やサプリメントについては、自己流で判断せず専門家にご相談ください。