補食は、おやつではありません。もう1食増やすことでもありません。
3食で足りなかった分を、あとから埋めるものです。
この位置づけが分かると、何を食べればいいかは自然に決まります。
結論:補食は「足りない分を埋める」もの
| よくある勘違い | 実際 |
|---|---|
| おやつ・ごほうび | 足りないエネルギーと栄養を補うもの |
| もう1食増やす | 3食の不足分を埋める。夕食を邪魔しない量 |
| 好きなものを食べていい時間 | 何を埋めるかで、食べるものが決まる |
「増やす」ではなく「埋める」。この言葉で考えてください。
なぜ3食では足りないのか
前の記事で書いたとおり、練習量が多い時期の炭水化物の目安は 体重1kgあたり1日8〜12gです(ACSM合同声明)。
体重60kgなら1日480〜720g。ご飯だけで換算すると9〜13杯ぶんです。
3食で割ると、1食あたり3〜4杯。毎食それを食べられる中高生は、そう多くありません。
ここが補食の存在理由です。
1回に食べられる量には限界があります。量を増やせないなら、回数を増やすしかありません。
だから補食は「余裕があればやること」ではなく、足りていない人には必要な手段です。
練習前に食べるもの
国立スポーツ科学センター(JISS)は、トレーニング開始の2〜3時間前に食事(補食)がとれるようスケジュールを組むことをすすめています (JISS 成長期アスリートハンドブック)。
学校が終わってすぐ練習、という選手は、この時間が取れません。そこで補食を挟みます。
| 練習まで | 食べるもの |
|---|---|
| 2〜3時間前 | おにぎり、サンドイッチ、パン。普通に食べていい |
| 1時間前 | バナナ、カステラ、エネルギーバー。軽いもの |
| 30分前 | ゼリー飲料、スポーツドリンク。固形物は入れない |
時間が近いほど、量を減らして、消化の早いものにする。試合前と同じ考え方です。
脂質の多いもの(菓子パン、ドーナツ、揚げ物)は、練習前には向きません。消化に時間がかかって、胃に残ります。
練習後に食べるもの
JISSは「トレーニング後速やかに栄養補給する」ことを重要としています。
練習で使い切ったエネルギーを戻す作業なので、早いほど有利です。家に帰ってから、では遅くなります。
| とるもの | 具体例 |
|---|---|
| 炭水化物(使ったエネルギーを戻す) | おにぎり、バナナ、カステラ、和菓子 |
| たんぱく質(体をつくり直す) | 牛乳、ヨーグルト、チーズ、ゆで卵 |
この2つを一緒にとるのが基本です。おにぎり+牛乳、バナナ+ヨーグルト——それで十分です。
コンビニで買うなら
現実的に、いちばん使うのはコンビニです。迷わないように、買うものを決めておいてください。
| ◎ 買うもの | △ 状況による | ✕ 補食にはならない |
|---|---|---|
| おにぎり | サンドイッチ (揚げ物・マヨ多めは避ける) | ポテトチップスなどスナック菓子 |
| バナナ | プロテインドリンク (食事の代わりにはしない) | 菓子パン(脂質が多い) |
| 牛乳・ヨーグルト・チーズ | エネルギーバー | カップ麺(栄養が偏る) |
| カステラ・大福・どら焼き (脂質が少なく糖質が多い) | ゼリー飲料 (直前ならこれ) | アイス・チョコ菓子 |
| 100%オレンジジュース | ゆで卵・サラダチキン | エナジードリンク |
和菓子が「◎」に入っているのは、間違いではありません。
大福やどら焼きは脂質が少なく、糖質が多いので、補食としては優秀です。
同じ甘いものでも、ケーキ・チョコ・アイスは脂質が多いので別物になります。
やりがちな失敗
① 「食べられへん」と言って、何も取らない
これがいちばん多い失敗です。
時間がない、食欲がない、気持ち悪い——理由はいろいろありますが、結果としてゼロになってしまうのがもったいないです。
ゼロと少しでは、全然違います。固形が無理ならゼリー飲料、それも無理ならスポーツドリンクでもかまいません。「全部食べるか、何も食べないか」の二択にしないでください。
② 「食べない方が動ける」と思っている
選手のなかには、「食べない方が体が軽くて動ける」と言う人がいます。
その感覚は、間違いではありません。胃に食べ物が残っていなければ、体は軽く感じます。動き出しも軽い。
ただ——軽いのは最初だけです。
現役トレーナーの視点「食べへん方が動ける」という選手はけっこういます。本人の感覚としては本当やと思います。
でも人間の作りを考えたら、食べたほうがええんです。エネルギーがなかったら、後半で必ず落ちます。
そういう選手には、「食べるな」やなくて「食べ方を変えよう」と言います。
量を減らす。時間を早める。固形やなくてゼリーにする。やり方はいくらでもあります。ゼロにする理由にはなりません。
「軽さ」を優先してエネルギーを切らすと、後半に動けなくなります。それは技術でも体力でもなく、単に燃料が足りていない状態です。
③ 補食で腹いっぱいになって、夕飯が入らない
JISSも「トレーニング後の補食は夕食に支障をきたさない程度に」としています。
補食はあくまでつなぎです。ここで満腹になって、いちばん量をとれるはずの夕食が入らなくなったら、本末転倒になります。
④ お菓子で済ませる
スナック菓子や菓子パンは、脂質が多く、必要な栄養が入っていません。お腹はふくれますが、埋めたかったものは埋まっていません。
「何を埋めるのか」を思い出してください。足りていないのは、炭水化物とたんぱく質です。
まとめ
- 補食はおやつでも4食目でもない。3食で足りない分を埋めるもの
- 1回に食べられる量には限界がある。量を増やせないなら回数を増やす
- 練習前は2〜3時間前なら普通の食事、近いほど軽く、直前はゼリー
- 練習後はできるだけ早く、炭水化物+たんぱく質(おにぎり+牛乳で十分)
- コンビニならおにぎり・バナナ・牛乳・和菓子。菓子パンとスナックは補食にならない
- 「食べられへん」で何も取らないのが最大の失敗。ゼロと少しは全然違う
- 「食べない方が動ける」感覚は本当。でも軽いのは最初だけ。ゼロにせず、食べ方を変える
- 補食は夕食を邪魔しない量にとどめる
毎日の食事の基本は サッカー選手の食事の基本、 試合当日の食べ方は 試合前に食べてはいけないもの にまとめています。 練習しても伸びない、疲れが抜けないという人は 貧血とエネルギー不足、 後半にバテる人は 後半バテる原因と改善法 もあわせてどうぞ。
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出典
- 国立スポーツ科学センター(JISS)「成長期アスリートのためのハンドブック」 — トレーニング前後の補食のとり方、夕食に支障をきたさない量
- JISS「アスリートの食事の基本」 — 基本的な食事の形
- Thomas DT, Erdman KA, Burke LM.「Nutrition and Athletic Performance」ACSM/米国栄養士会/カナダ栄養士会 合同声明, 2016 — 炭水化物の摂取量の目安
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医師・管理栄養士による個別の指導に代わるものではありません。必要な量やタイミングには個人差があり、紹介した数値はあくまで目安です。食物アレルギーのある方、持病のある方、体重管理が必要な方は、必ず専門家にご相談ください。