この記事を書いた人:現役トレーナー・S.T.R鍼灸院院長
サッカーの現場でトレーナーとして活動する鍼灸師。学生からプロまで、怪我・リハビリ・コンディショニングの現場対応を専門にしています。
「筋トレはしたい。でも試合に響かへんか心配」——選手も指導者も、一度はぶつかる悩みやと思います。
結論から言うと、筋トレを入れる“タイミング”を試合から逆算して決めるのがいちばん大事です。とくに下半身の高強度トレーニングは筋肉痛(遅発性筋肉痛=DOMS)が残りやすく、それを試合に持ち越すと走りのキレや切り返しに直結します。この記事では、僕が現場で実際にどう組んでいるかを、週1試合・連戦それぞれのパターンで紹介します。
なぜ「試合から逆算」して筋トレを組むのか
下半身の高強度トレ(スクワットやジャンプ系など)は、効果が高いぶん筋肉痛が後を引きやすいのが特徴です。この筋肉痛が試合当日まで残っていると、トップスピード・スプリント・急な切り返しといった、サッカーで勝負を分ける動きが鈍ります。
だからこそ、追い込む日と試合日との“間隔”を設計してあげる必要があります。狙いたいのは、試合当日に筋肉痛が完全に抜けきる、その直前のタイミング。現場での感覚はこうです。
筋肉痛は、残っていてもいい。むしろ抜けてきて「最後にスッと抜けきる」くらいのタイミングが、いちばん体が動く。完全に抜けて何日も経つより、その方がキレが出る感覚があります。
これは理屈でいえば、ピーキング(トレーニングの刺激からの回復・超回復が、ちょうど試合にハマる状態)の考え方そのものです。やみくもに前日まで追い込むのではなく、「いつ抜けきるか」から逆算する。ここが組み立ての軸になります。
※ 筋肉痛の残り方や回復スピードには個人差があります。まずは自分の体で「何日前に追い込むと当日ちょうどよくなるか」を確かめながら調整してください。
下半身の高強度トレは「試合の4〜5日前」が基準
僕が選手に下半身の高強度トレを入れるのは、試合の4〜5日前が基準です。日曜が試合なら、火曜か水曜あたり。ここでしっかり追い込んでおけば、当日にはちょうど筋肉痛が抜けきる前後に持っていけます。
「前日や2日前にガッツリ下半身」は、まず残ります。試合でパフォーマンスを落とすので避けてください。
上半身のタイミングはそこまでシビアでなくていい
上半身については、サッカー選手の場合そこまで神経質にタイミングを気にする必要はありません。下半身ほどプレーへの影響が直接的ではないからです。
ただし、試合の前日は、上半身・下半身問わず筋トレを入れない。これは共通のルールにしています。前日はコンディションを整えることに専念しましょう。
【週1試合】学生・社会人リーグの1週間モデル
週末ごとに試合があるパターン(日曜試合→翌日曜試合の「中6日」)を例に、1週間の組み方を出します。火曜に高強度を入れた場合のモデルです。
| 曜日 | 下半身の筋トレ | ねらい・メモ |
|---|---|---|
| 日 | 試合 | — |
| 月 | 完全休養 | 試合の疲労をしっかり抜く |
| 火 | 高強度(試合5日前) | ここがメイン。いちばん追い込む日 |
| 水 | なし | (水曜に高強度を入れる選択でもOK=試合4日前) |
| 木 | なし | 練習に集中 |
| 金 | 軽め(試合2日前) | 刺激だけ入れて疲労は残さない程度に |
| 土 | なし(前日) | 最終調整。筋トレは入れない |
| 日 | 試合 | 筋肉痛が抜けきる直前の状態を狙う |
このモデルのポイント
- 月曜は完全休養。試合翌日に追い込まない。まず疲労を抜くことを優先します。
- 高強度は火曜か水曜(試合の4〜5日前)。1週間で一番追い込むのはこの1回。
- 火曜に高強度を入れたら、金曜に軽めを入れる。刺激を切らさず、でも疲労は残さないバランス。
- 前日(土曜)は入れない。コンディション調整に専念します。
【連戦・過密日程】中2日のときは「やらない」
では、プロや大会などで試合が詰まっているとき——たとえば中2日のような連戦ではどうするか。答えはシンプルで、基本的に下半身の高強度トレは入れません。
中2日では、追い込んだ筋肉痛が次の試合までに抜けきりません。ここで無理に下半身を入れると、確実にパフォーマンスを落とします。連戦中は筋トレで“追い込む”フェーズではなく、リカバリーを最優先するフェーズ。試合と試合のあいだは、疲労を抜いて次に万全で臨むことに振り切ります。
まとめ
- 下半身の高強度トレは筋肉痛が残りやすい。試合から逆算して組むのが大前提。
- 基準は試合の4〜5日前。当日に「筋肉痛が抜けきる直前」を狙う(=ピーキング)。
- 上半身はサッカーならタイミングに神経質にならなくてOK。ただし前日はどちらも入れない。
- 週1試合なら、月=完全休養/火か水=高強度/(火に入れたら)金=軽め、が基本形。
- 中2日などの連戦は基本やらない。リカバリー最優先。
- 回復スピードには個人差があるので、自分の体で最適な間隔を見つけることが大事。
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